日記
カポエイラ百科事典vol.14
【メストレ紹介①:メストレ・ビンバ】
今回は、カポエイラの歴史を語るうえで欠かせない人物、メストレ・ビンバ(Mestre Bimba) についてご紹介します。カポエイラを学ぶなら、そのルーツを知ることも大切。ビンバがどのようにカポエイラを変え、広めていったのか、一緒に見ていきましょう。
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1. 現代カポエイラの父、メストレ・ビンバとは?
メストレ・ビンバ(本名:Manoel dos Reis Machado)は、1899年11月23日、ブラジル・バイーア州サルバドールに生まれた伝説的なカポエイリスタ です。
彼は、当時「犯罪者の戦い」と見なされていたカポエイラを近代的な武術・芸術として確立 し、社会的に認められるものへと変えました。その功績から、彼は 「カポエイラの父」 とも呼ばれています。
幼少期からカポエイラを学び、強さと技術で名を馳せたビンバは、やがて独自のカポエイラスタイルを確立します。それが 「カポエイラ・ヘジォナウ(Capoeira Regional)」 です。
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2. カポエイラ・ヘジォナウの誕生
1930年代、カポエイラはまだ非合法で、「ならず者の戦い」として扱われていました。
しかし、ビンバは カポエイラが立派な武術であり、教育にも役立つものであることを証明したい と考え、伝統的なカポエイラに新しい要素を取り入れました。
カポエイラ・ヘジォナウの特徴は:
①より速く、強い動き – 戦闘性が強調されたスタイル
②トレーニングシステムの確立 – カリキュラムを導入し、効率的に学べるようにした
③格闘技の要素を取り入れる – ボクシングやレスリングの技術を応用
1932年、彼はブラジル初の正式なカポエイラアカデミー を設立し、カポエイラを体育教育の一環として教え始めました。
これが、カポエイラの社会的な認知を大きく変えるきっかけとなりました。
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3. ビンバの影響と功績
メストレ・ビンバの影響は絶大で、彼がいなければカポエイラは現在のような国際的な武術になっていなかったかもしれません。
・カポエイラの合法化
彼の活動によって、1940年にカポエイラは正式に合法化され、国家的に認められるようになりました。
・カポエイラの社会的地位の向上
それまでカポエイラはストリートファイトと見なされていましたが、ビンバは制服を導入し、礼儀や規律を重視 することで、社会的に受け入れられるものにしました。
・技術体系の確立
彼は「8つの連続技(Sequências de Bimba)」を作り、初心者でも体系的に学べるようにしました。これは現代のカポエイラ教育にも受け継がれています。
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メストレ・ビンバは、1974年に亡くなりましたが、彼の影響は今もなお強く残っています。
今日では、多くのカポエイラグループが彼の教えを受け継ぎ、練習を続けています。